- 民事裁判
不倫の代償は10万円? 夫婦の未来はどこへ
夫のポケットから見つかった、女性からの手紙。それは、妻の平穏な日常を打ち砕く、不倫の告白だった。 地域委員として活動する夫と、同じく地域委員である女性。妻は、この女性に対し、精神的苦痛に対する慰謝料を求めて訴訟を起こす。被告は、二人の関係は「友情」であり、不倫ではないと主張。 果たして、妻は夫の裏切りと、女性の関与に対して、正当な代償を得ることができるのか。夫婦の未来は、この裁判の行方にかかっている。
この物語は実際の判例を元にしたフィクションです。登場人物は全て仮名にしております。実際の判例を元にした物語としてお楽しみください。
妻による慰謝料請求
主婦のA子さんは、夫のC男さんのポケットから女性B美さんからの手紙を発見しました。
その手紙には、恋愛感情を匂わせる内容が記され美ており、A子さんの平穏な日常は脆くも崩れ去り、深い精神的苦痛に苛まれることになります。B美さんはC男さんと同じ地域委員のメンバーでした。
A子さんは、B美さんを相手に慰謝料請求訴訟を起こすことを決意します。A子さんは、B美さんの行為によって精神的苦痛を受けたとして、90万円の慰謝料を請求しました。
被告Bさんの主張とそれぞれの背景
法廷でB美さんは、C男さんとの関係は職務上の相談から発展した交際であり、不倫関係ではないと主張しました。肉体関係も否定し、高額なプレゼントや二人きりの旅行についても、純粋な友情の証だと説明しました。
B美さんは、C男さんとの交際は平成13年6月中頃からであり、食事や映画鑑賞といった内容だったと主張しました。また、A子さんに宛てた手紙の内容については謝罪の意を示しました。
裁判では、A子さんとC男さんの婚姻期間(昭和31年~判決時まで、子供3人)や、C男さんの職業(自宅で印刷関係の事業、後に地域委員)、B美さんの経歴(既婚、平成5年に死別、10年前から地域委員、5年前から老人会館の管理人 パート)といった背景も明らかになりました。
原告Aさん側の主張を裏付ける事実
A子さん側の主張を裏付ける様々な事実も明らかになりました。
平成13年10月6日、C男さんとB美さんは池袋のカラオケに行きました。C男さんはB美さんに3万円相当のネックレスをプレゼントし、B美さんは後にA子さんへの発覚を恐れてC男さんに返却しています。
平成13年10月18日、二人は大阪へ日帰り旅行に行きました。
C男さんの誕生日の前日である平成13年11月22日、二人は池袋のデパートで食事をし、B美さんはC男さんに手袋とアスコットタイをプレゼントしました。
これらの事実は、二人の関係が単なる友人関係を超えていることを示唆していました。A子さんは、平成13年8月頃からC男さんの領収書や夕食の状況から二人の関係を疑い始めていたと証言しました。
裁判所の判断
裁判官は、昭和54年の最高裁判例「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は…他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある」を引用し、B美さんとC男さんの交際が「社会的妥当性の範囲を逸脱する」ものであり、A子さんに精神的苦痛を与えたと判断しました。
特に、高額なプレゼントの交換や二人きりの旅行は、一般的な友人関係では考えにくい行為だと指摘しました。肉体関係の有無を問わず、B美さんの行為は違法性を帯びると判断されました。
しかし、慰謝料については10万円と決定しました。
その理由として、B美さんとC男さんの交際の期間が約半年と短いこと、二人が既に地域委員を辞任し、一種の社会的制裁を受けていること、そしてA子さんとC男さんの婚姻関係が最終的に破綻には至らなかったことが挙げられました。また、裁判官は夫婦間の問題は夫婦自身で解決すべきであるとも指摘しました。
不倫の証拠の重要性
この裁判では、肉体関係を直接的に示す証拠はありませんでした。
しかし、プレゼントの交換や旅行といった間接的な証拠が、B美さんとC男さんの関係が「社会的妥当性を逸脱する」と判断する上で重要な役割を果たしました。
不倫の慰謝料請求訴訟においては、肉体関係の有無だけでなく、精神的苦痛を与えた事実を立証することが重要です。
勝敗と理由
原告A子さんの一部勝訴です。被告B美さんはA子さんに10万円の慰謝料を支払う義務を負いました。
裁判所は、B美さんとC男さんの交際がA子さんに精神的苦痛を与えたことを認めましたが、交際の期間や婚姻関係の継続などを考慮し、慰謝料の額を10万円としました。
訴訟費用は9分の1の割合で、A子さんが8、B美さんが1を負担することになりました。
物語の元になった判例
判例PDF|裁判所 - Courts in Japan
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/687/005687_hanrei.pdf
また、夫婦関係の維持における当事者それぞれの責任についても考えさせられる事象だ。
