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- 刑事裁判
盗撮してそれを販売した男
日常に潜む闇。一見普通の男が、盗撮常習犯として法廷に立つ。71回に及ぶ盗撮、自作の盗撮道具、そして盗撮映像の販売… 彼はなぜ、罪を繰り返すのか?
この物語は実際の判例を元にしたフィクションです。登場人物は全て仮名にしております。実際の判例を元にした物語としてお楽しみください。
狂気の男
薄暗いワンルームマンションの一室。男は、パソコンの画面に映し出された無数の動画ファイルを前に、ニヤリと笑みを浮かべた。
それは、彼が街中で盗撮した映像の数々だった。
一見、ごく普通の日常を送っているように見えるこの男。しかし、彼の本当の姿は、盗撮を繰り返す常習犯だった。
止まらない盗撮
多くの人が行き交う駅や商業施設。何気ない日常風景の中で、男は密かに盗撮を繰り返していた。
ターゲットは、若い女性たち。その手口は巧妙で、自作した特殊な鞄に隠したスマートフォンで、盗撮していたのだ。驚くべきことに、彼の盗撮回数は、実に70回をも超える。
しかも、過去にも同様の行為で2度の罰金刑を受けていたにもかかわらず、盗撮行為をやめることができなかった。
歪んだ金儲け
男の悪行は、盗撮行為だけにとどまらない。
アルバイト以外に外で仕事をした経験がない彼は、盗撮動画を販売することで生計を立てていたのだ。彼にとって、盗撮映像は単なる欲望の対象ではなく、いわば「商品」だった。
スマートフォンを分解し、盗撮のための道具を自作するほどの徹底ぶりからも、彼の盗撮行為が、単なる性的な欲求だけでなく、金銭目的も含まれていたことが分かる。
母と臨んだ法廷
そして、刑事裁判。男にとっては何度目だろうか。
法廷で、検察官は懲役2年を求刑。被害者の数、常習性、そして盗撮映像を販売して利益を得ていた点などを挙げ、厳しく追及した。
男は反省の言葉を述べ、カウンセリングに通う意思も示し、母親も彼の更生を支援することを誓った。
果たして・・・。
そして判決
響いたガベルは少し鈍かった。
裁判官は男に対し、懲役1年6ヶ月の実刑判決を言い渡した。
検察側の求刑よりも6ヶ月減刑されたのは、被告の更生への意欲や、家族のサポートといった情状酌量の余地を認めたためだ。しかし、同時に常習性や営利目的の盗撮行為の悪質性を重く見て、実刑は避けられないと判断したのだ。
多くの被害者を生んだこの事件。1年6ヶ月という男の償いは、被害者たちの傷を癒すことはできないだろう。
物語の元になった判例
判例PDF|裁判所 - Courts in Japan
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/199/092199_hanrei.pdfオジサンの感想
